東亞寫眞タイムズ

失われた季節

中学の同級生にK子という美人がおりました。容姿端麗+学業成績優秀。いわゆる才媛です。高校は県下有数の進学校へ。そして、都会の有名私立大を出て地元に戻り、中堅証券会社に就職。 その時つきあっていたのが私の親友Y。小学校からずっと一緒でした。正直妬ましかったです。Yは地元の国立大を一留で卒業し、やはり地元の信用金庫に就職。2年ほどして二人は結婚。 彼は気の小さい優しい男でした。

 

K子はその優しさにあぐらをかき、だんだんと自分勝手な行動をし始め、職場の同僚男性と遅くまで飲み歩くなど、おおよそ人妻にふさわしくない生活態度が目立つようになりました。そしてお決まりの浮気。相手は貿易業経営者。見込み客だったその男に食事を誘われたのがきっかけらしいです。服装センスよく、話上手。男前の30代半ば。当時子供っぽくて誠実だけが取り柄のダサいYとは大違い。すっかりのぼせたK子は、ある日Yに告げました。「私たち、お互い違う未来に進むほうがいいと思う」と。驚いたYは必死で説得を試みたのですが、聞く耳持たず。すぐに彼女は愛の巣を出て行きました。

 

離婚成立し、憔悴したYは信用金庫も辞め、行方不明に。 K子はその貿易商の男性と同棲。しかし、貿易商というのは形だけ。出身地の関西で事業に失敗。夜逃げして流れ着いた落ち武者で、実際は景品と便利グッズの訪問販売を掛け持ち、おまけに別れた妻子にも毎月送金していて火の車。K子の貯金もすぐに使い果たしてしまいました。そして、K子は客の預かり金を横領、警察沙汰に・・・親が全額弁償して示談に持って行ったので刑事告訴は免れましたが、証券会社は懲戒解雇となりました。 

当然、男とはおしまい。K子は失意とともに実家に幽閉。 (男はその後別件の詐欺容疑で逮捕されました。)

 

姿を消したYは東京の金融メディアで働き、その高い分析能力を評価され、外国銀行の投資部門にヘッドハント、とんでもない高給とりに。あの小心者だったYが自信に満ちた都会派のビジネスマンに大変身。驚きと羨望の私・・・神は不公平だとつくづく。

 

さて、K子ですが、男性不信と自責、後悔の念が入り混じり、長期に渡って極度のうつ状態が続き、自殺を恐れた家族によって精神病院へ送られました。 Yも生涯独身を貫くと心に誓っておりましたが、歳月を経たある時、偶然K子の状況を知ったYは実家に手紙を送り、「やり直してみないか」と提案。その時、双方とも30代半ばに達していました。「不道徳な行為は赦せないが、人は誰だって不完全だ。二人の失われた季節だったと思うことにする。どうしてもK子を見捨てることはできん。」とYは私に語りました。

 

K子は今も美人です。一昨年病死したYの面影を抱いて地元に戻り、ひっそりと一人暮らしています。夫婦に子供はありません。 

 

なお、この話は概ね事実です。掲載は主役本人の承諾を得てありますが、人物が特定されないよう脚色しております。

 

 




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