東亞寫眞タイムズ

Boy or girl ?

昨年、友人の一人が他界しました。共に学び、遊び、青春時代を過ごした仲間です。彼には少し変わったところがありました。

今で言うトランスジェンダーです。学校では男の子、家に帰ると女の子といった生活で両親と姉はそれを容認していました。

成績はきわめてよく、運動もふつうにできましたが、外観、話し方がしばしば嘲笑、揶揄の対象になっていて、それを阻止、反撃していたのが私でした。70年代の日本ですから、こういうタイプの者は「おカマ」と呼ばれて差別の標的だったのです。

 

いじめが原因で時々学校に出て来ないことがあり、心配になって帰りに自宅を訪ねたことから急接近。彼の姉からも守ってくれるよう頼まれ、しだいに行動を共にすることが多くなって行きました。

簡単に説明すると、身長は160cmそこそこで痩せていてハイトーン、当時の流行で長髪、細い顔、今で言うと真木よう子さんに酷似。帰宅するとすぐに女子の服装に着替えていました。もちろん下着もです。最初は気味悪く、距離を置こうと思いましたが、彼の家庭は明るくモダンで、大きな黒檀の丸テーブルで楽しむスコーンと紅茶、外国暮らしで洗練された上品な母親、賢くて美人の姉(音大生)等々、自分の世界にないものばかり。カルチャーショックもあり、すっかり引き込まれてしまいました。

 

長くなるので割愛しますが、彼は自分のために何度も喧嘩してくれた私を慕い、卒業前の冬に女の子の姿で抱きついてきたのです。夕暮れの裏通りでのこと。すっかり困った私は「それはダメ。俺は彼女いるので」と断ると、すごく寂しそうな背中を向けて帰って行きました。

 

数年後、姉の結婚式になぜか招かれた私。姉のたっての希望だったそうです。「私たちのヒーローを呼んで」と。その時彼は弟でなく、妹になっていました。パーティードレスにハイヒール、豊かな髪をひっつめ、うず高くセット。どこから見ても超絶美人。驚いたの何の。(なお、この時点ではいわゆる竿つき玉なしだったそうです)

 

それから二度と会うことはありませんでした。自分自身が結婚したこともあり、あらぬ誤解の元になってもと危惧し、疎遠となったのです。 先生と呼ばれる職業に就き、女性として人生を過ごした彼は幸福だったのだと思うことにしています。

 

 

 




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